こんにちは。
海外赴任が決まった夫に帯同する妻を「駐在妻」と呼ぶのですが、「駐在妻」は現代では本当に華やかなポジションなんでしょうか?
私自身、夫のアメリカ駐在が決まった時、周りの人からは、
「いいな~!アメリカ駐在生活なんてかっこいい!!」
「優雅な生活が待ってるんじゃない?」
「大きな家に住めて、お仕事もしなくてよくて、子供もバイリンガル、ペラペラやん」
というようなを言われました。
きっと、私も自分のことでなければ、表面上の楽しそうな生活に憧れを抱いたことだと思います。
もちろん、外国での期間限定の生活は大人にとって子供にとっても、人生経験として大変貴重な時間となることは間違いないのですが、「駐在妻っていいポジション」なんて言葉を鵜呑みには出来ず、「駐在生活は貴重な体験だった!」と思えるためには、現地で能天気に生活するわけには行かないということです。
この記事では、私自身も仕事を中断したこともあり駐在妻のリアルな意見として、
アメリカ駐在妻の立場から、夫が海外赴任が決まった時に、どのような選択肢と駐在妻のリスクがあるのかというお話をしたいと思います。
夫の海外転勤を知らされた時、妻の選択は?!
主にこの3つです。
①夫の海外赴任に帯同する。
②単身赴任で海外に行ってもらう。
③夫に海外転勤を断念してもらう。
①夫の海外赴任に帯同する。
海外赴任が決まる時点で、特に働いているわけではなく、専業主婦であり、妻が仕事を手放すというリスクがもともとない夫婦二人の場合や、子供が幼い家族の場合は夫に帯同していくことが多いです。
②単身赴任で海外に行ってもらう。
専業主婦の場合でも、どうしても海外生活が嫌な方もいるでしょう。
海外生活はしたいけれど、子供の年齢や赴任する国や地域によっては子供の教育を優先して奥さんと子供は日本にとどまるという選択肢もあります。
③夫に海外転勤を断念してもらう。
また、夫婦二人で正社員、総合職など2馬力で生活をしている人は、夫婦揃って海外赴任を断るという選択も最近では珍しくありません。
お仕事をバリバリされている方は、その仕事をその期間だけ休職することなどは現状では難しいでしょうから、退職して着いていくのか、または、奥さんは仕事を続けて夫に単身赴任で海外駐在をしてもらうのかと、大変苦しい選択となりますね。
このように、「駐在妻」として夫の海外赴任に帯同するには、妻としての立場でかなり悩み、大きな決心をしている場合が多いのです。
駐在妻の3大リスク
「夫の海外赴任に帯同する」という選択をした場合、駐在妻としてのリスクが必ず伴うのです。
夫の海外赴任自体がリスクとも言えます。
家族それぞれの人生がかかっていることですからね。
リスク1.築き上げたキャリアを犠牲にするリスク
昔はサラリーマンの夫の場合、妻と子供を養うという構図で成り立っていましたが、現在はたくさんの女性が結婚・出産後も何かしら仕事をしているという家庭が多くなってきています。
会社などに勤めたり、フリーランスなどでバリバリと仕事をしている妻の場合、「夫の海外赴任」は夫にとってはいわゆる「栄転」である一方、海外で夫と一緒に生活をすることを選ぶということは多くの働く妻にとっては、「退職」「休職」というキャリアアップとは全く逆のベクトルに向いてしまうということです。
特別キャリア志向の働き方でなくても、
それぞれが積み上げてきたキャリアを中断し、犠牲にすることでしか海外赴任に帯同することができないという現実を妻自身が受け入れなければいけないそのです。
妻が会社員、フリーランスなどでまだまだ働けるパワーがある中、夫の転勤で仕事を辞めざるを得ないことは、働く妻にとっては非常に辛い選択です。
もちろん、駐在妻として海外に行くということは、妻自身が夫の仕事を優先し、家族全員で生活をすることを最も重要であることとして選択しているので最終的には本人の意志での決定なのが、どこかにやり切れない思いがあるのも事実なのです。
これは、日本国内でも転勤族の夫を持つ妻に着いて回る大きな犠牲だとも言えます。
・いつ日本に帰国するかも確かではないため、同じ会社に復帰できる保証はない。 ・復帰できたとしても、依然のポジションで働ける保障はない。 ・そもそも、日本帰国後に働き口があるのか。 ・駐在中は手当もでるだろうが、夫の会社が妻のキャリアを保障してくれるわけはなく、帰国後は確実に世帯収入は下がる。 ・今まで働いていきたのに、急に家庭に入り専業主婦となることへのやるせなさ。 |
このような葛藤を持ちながら、何年駐在するかわからない海外生活を「駐在妻」として過ごすことになるのです。
「働きたいのに働けない」という駐在生活を送らざるを得ない妻達がたくさんいます。
一部の駐在妻は、現地で働くことができる場合もありますが、まだまだ日本企業で夫の海外駐在で帯同する妻に、「働いていいですよ!」という提案をしている企業は少ないのです。
渡航先で妻が働くことを禁止している企業は多く、駐在妻は、就職活動さえ制限されているのです。
企業の言い分としては、
・配偶者が働く必要がないくらい手当を厚くしている
・前例がないから出来るだけ仕事を辞めて渡航してほしい
・働いてもいいが、自分ですべて手配して確定申告などをしてくれ、こちらはわからない
など、なんとも妻が働くことに消極的な姿勢である企業がほとんどなのです。
このような企業側の言い分で、夫の会社が本帰国してからの妻のキャリアを保証してくれるわけではないし、手当はもちろん赴任期間中のみで、なんとも駐在妻の人生を軽視している制度と思えてなりません。
駐在妻が働く場合、就労ビザを夫とは別にとる必要があったり、その国々のルールに従って色々と調べていく必要もあるので、企業側も面倒なのでしょうが、赴任先で働ける条件があるのであれば、妻のキャリアにブランクがあくリスクもなくなり、本帰国後もキャリアアップとなるため、赴任先で妻も働けるように企業側も働きたい妻にもっと協力的になるべきであると思います。
最近では、夫婦が同じ会社の場合、帯同する妻に休職制度、転勤制度を設けて本帰国後に仕事に復帰できるような制度を設けている会社も出てきましたが、「前例がない」「手続きが面倒」などの理由でまだまだ企業の意識は低く、自分の仕事を辞めなければいけない駐在妻はたくさん存在します。
家族みんなで海外赴任ができることは、夫にとってだけではく妻、子供にとっても大変有益であることは今分かったことではないのです。
グルーバル化と共に今後の海外赴任において、夫と帯同する妻が泣く泣くキャリアを捨てずに済むように、積極的に制度を変えていく必要があるのは確かです。
働きたい駐在妻も、現状で実現させるには、夫と話合い会社にも協力してもらえるよう地道に取り組むしかないですね。
リスク2.子供の日本語力維持・日本の勉強の遅れというリスク
本帰国が決まっている海外での子育てにおいて、子供の現地外国語もしくは英語と母国語である日本語の両立、日本の勉強などの重大な課題があり、現状ではその地道で多大なるな努力は一手に妻が引き受けることになります。
この場合、子供の英語に関しては現地校やインターナショナルスクールに入れば、ほぼ学校で英語が喋れるようになります。(*レベルアップには家庭でのフォローも必要です)
しかし、
子供の日本語力、日本での勉強の遅れというリスクが考えられます。
赴任する国や地域によっては、日本人の子供向けの塾などが充実していたりしますが、それでも海外にいながらとなると、忙しい夫では細かくチェックすることはなかなか難しく、結局は母親の力量にかかってくるのです。
海外赴任に着いていくと決めた場合、海外引越しまでにある程度、どのように日本語教育をすればよいか、情報収集し、必要な物を準備していきましょう。
また、妻が海外生活に順応できるとしても、
子供は順応できないかもしれないというリスクがあります。
海外に赴任するときの子供の年齢も大きく関係してきますので、どの年齢でどのようなことに気を付けてあげればよいかなど大まかでよいので、夫婦で話し合いながら子供の様子を見守ってあげることは大変重要です。
どうしても海外生活が合わないようであれば、潔く日本に帰ることをお守りとして選択肢に持っておくと最後の切り札として使えます。
リスク3.日本にいるよりワンオペ育児になるリスク
よくあるパターンで、夫が先に赴任し、生活基盤を整えて妻と子供を赴任先に迎え入れるとう方法ですが、これもまた、渡航までの数カ月の「ワンオペ育児」となります。
夫が先に海外に行った後、妻が一人で育児や引っ越し手続きをし、妻が一人で子供達を連れて飛行機に乗って赴任先に行く。
この一文だけに、どれほどの手続きや作業が持ち込まれているでしょう。
私の場合、夫が細かく「するべきこと」をリストにしてくれ、一つずつチェックしながら無事に全ての手続きを済ませ、渡米しましたが、夫が待ってくれている現地の空港に着くまでは、子連れでの渡米のため全くリラックスなどできなかったことを思い出します。
海外赴任では、最近は企業も出来るだけ少ない人員で稼働させるため、一人が担当する仕事量は日本にいるときよりもずっと多く、責任もかかってきます。
そのため、
夫は馬車馬のように働き、妻は一人で子育て(ワンオペ育児)になる可能性が非常に高いのです。
日本でも、ワンオペ育児は問題になっていますが、日本語で生活ができ、自分が頼れる人が周りにいる環境下とは違い、海外で英語や現地語でのやり取りに翻弄されながら、慣れない環境と文化の違いのなか、駐在妻という立場でのワンオペ育児は、精神的にも体力的にもかなりハードなのです。
海外で未就園児を育てる場合、当然のこと親の助けはなく、雇うベビーシッターが英語だったり現地語だったりするため、妻の英語力がなければ非常に利用しにくく、慣れない海外で母子べったりという精神的につらい環境になることもあります。
また、アジアなどメイドやベビーシッターがいる場合でも、言葉や習慣の違いからのストレスは発生することもあります。
妻一人では、状況は変えられません。近くの先輩駐在妻や現地で生活をする日本人の妻に相談しながら、うまくストレス発散することが必要です。
しかしそれ以上に、夫の子育ての協力も日本にいるときよりも意識的に行ってもらうことが状況を大きく変えます。ぜひとも夫婦で海外での子育てについて話合ってください。
さいごに
赴任前にこの記事を読むと不安になるかもしれませんが、実際あり得る状況ですので、それを少しでも知った上で、海外生活に取り組むとやってくる課題も腰を据えて対応できます。
駐在妻ならではのストレスがありますが、
この3つを妻と夫がどうのように捉え、話し合って夫婦が納得いくように生活をしていく努力ということが最終的に鍵となります。
夫、妻、それぞれ一人の人格ある者として、お互いを尊重することから理解が生まれ、協力し合っていくことができます。
私自身、渡米一年目は仕事に忙しい夫に早く仕事に慣れてもらいたいと思い、一人で出来るだけやってやろう!と意気込んでいましたが、やはり、日本とは勝手が違う海外では自分一人では限界を感じ、特に子育てに関しては子供の父親である夫と一緒に話し合いながら、進む道を調整しながら歩むことが子供にも夫婦にも大切な方法であると気づくことができ、現在は協力しあってアメリカの地で子育てをしています。
海外赴任は夫婦の絆をしっかりと深めれる機会であり、危機でもあります。
しっかりと家族の方向性を夫婦で話合い、また子供がそれなりの年齢であれば子供にもどのようにしたいのか、など深く話し合ってみましょう。
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